基調テーマは,「核兵器のない世界に向けて」,基調講演は,明石康広島平和研究所長.議長は,石栗勉国連アジア太平洋平和軍縮セン ター所長.参加者は,政府の軍縮担当者,研究者,非政府組織代表,海外23か国29人,国内42人の計71人.
全体会議議案は,「核不拡散と軍縮を阻害する新たな課題」.ジャンヤンタ・ダナパラ軍縮担当国連事務次長の開会挨拶も,核不拡散と軍縮への新たな挑戦を検討することをよびかけるもの,と,核不拡散と軍縮という,いつもながらのテーマではあるが,
明石康広島平和研究所長(前人道問題担当国連事務次長)が,基調講演で
「従来の国際的な核不拡散システムは,潜在的核保有国や核開発疑惑国に対する決め手を持たない欠陥システムだった」(【長崎新聞】より)と述べているし,
最終日の総括で,議長が,「核兵器の大幅削減と究極的な廃絶に短中期のビジョンや行動計画がない。この点についてこの会議は、核兵器国 により多くの責任があると考えた」(【中国新聞】より)と,核保有国の責任を強調するなど,
ということは,核不拡散が第一です,ですからインド,パキスタンの今年の行動は困ります,というだけの,ようするに政府見解とは異なっている.
とはいえ,勿論,核保有国からは異論は出るわけで,殊に今年核実験を強行して,どこでも非難され続けているインド,パキスタンの代表からは,「自国の論理」(中国新聞)を展開する場面もみられた.
http://www.hiroshima-cdas.or.jp/chugoku-np/News/Tn98112702.html
(【中国新聞】)
核保有国の参加者は「廃絶は時期尚早」と反発したものの,キャンベラ委員会(1996年に核兵説への道筋を提言していたキャンベラ報告書を提出している)のメンバー,今井隆吉元軍縮大使が,プロトコル(条約の議定書)を作り,それぞれの国が合意できる部分に賛同し,廃絶条約にまとめるといった考えを述べ,こうした取組に対して「日本が先頭に立って呼びかけたらいい」と発言したところ,外務省幹部は,「可能だろうか」と疑問視.今井氏がさらに「多国間で廃絶への条約をつくるのは無理だ、というのが常 識だろう。しかし、何もしないのは困る。まず廃絶に向けた動きを つくるべきだ」と説いたとある.
***引用
中国の胡小笛外務省次長の発表テーマは「保有国の役割」。「最 も多く(核を)持っている国から(削減を) 始めるべきだ」と述 べ、インドの核実験や日米の戦略ミサイル防衛構想(TMD)を批 判した。名指しされたインドからの参加者が声高に反論する場面も あった。
「核保有国のうち、中国だけは削減の動きが見えない。いつにな ったら減らすのか」との質問に、胡氏は「米ロの核が中国と同じレベルに減った時だ」 。
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石栗氏は,会議には核保有国の参加者もいることから,決議が採択されるかどうか不安であったようだが,案に相違して,拍手で採択.
*しかしこの採択の文書が今のところ入手できず.[12/1]