1998年に2度否決されている国家ミサイル防衛法案(Nationa Missile
Defense Act)が,1999年2月22日の週に上院で可決される見通しがある.
法案の提案者はコクラン,イノウエ両上院議員.
(議案名はコクラン・イノウエS257)
自分のところの上院議員,選挙人にコンタクトを取って,反対させるよう要求
しよう.
(電話番号の案内)
論証
この法案が実行されれば,米国はミサイル防衛システムの展開に駆り立てられ
る.たとえそれが無効であっても.
ミサイル防衛システムは,もっともありそうな核テロの手段−飛行機,トラッ
ク,船などで運ばれてくる核装置−から米国を守ることはできない.
ミサイル防衛の展開は,ロシアを核軍縮路線から逸脱させ,それは米国の安全
保障を害する可能性がある.
ミサイル防衛構想は,最近のペンタゴンのテストでも無惨に失敗している.過
去40年間で1000億ドル以上を使っての結果を考えれば,この先にそれがうま
くいくことを信じる理由はなにもない.事実ペンタゴンは,この計画を特徴付
けてきたグループを「失敗への突撃」だと言っている.
The Union of Concerned Scientists(関心ある科学者連合)の軍備プログ
ラム主事トム・コリマによれば,コクラン・イノウエ提案は不必要である.提
案はミサイル防衛の早期展開にはならない.米国はすでに可能な限りで展開,
実験を行っているのだから.
また,コクラン・イノウエ提案は,効果性も費用も米ロの核軍縮も無視して,
ただ米国はミサイル防衛システムを技術的に可能な限り早急に必要なのだと
言って話を簡単にしすぎている.
しかし,このミサイルシステムは,以下の理由によって,実際の世界のミサイ
ルの脅威には役に立たない.
安全保障にかかるコスト:この法案は,実際の利益よりも安全保障にかかるコ
ストが高くてもミサイルは配置させるべきだと言うだろうが,この構想は核兵
器削減交渉を脱線させるものだとロシアが言っているわけだから,米国にとっ
ての危機,すなわちロシアのミサイルは増える.またそれによって偶発的な核
の危機は増大するかもしれない.さらには,中国は米国のミサイル防衛に対し
て,現有の核兵器を増強すると言っている.
効果:この法案は,配置される実際的なシステムの運用については何も言って
いない.つまり,どのようになされるのかがまだ設計もされていない配置を求
めている.
ミサイルの有効性:ミサイルシステムが対応する脅威は,おそらく核弾頭1個
を持った長距離ミサイルだろうが,米国領内に長距離砲を打ち込める国は,防
衛システムを攪乱したり逃れたりすること,つまりもっと簡単なことをする能
力もある.多年に渡る研究にもかかわらず,反撃手段にはまだまだ解明されて
いない部分がある.
現実的な危機についていえは,米国に大量破壊兵器をしようとする国には,ト
ラック爆弾,スーツケース爆弾,船で運ばれる武器のような,もっと効果的な
やり方がある.その場合,よしんばミサイルによって攻撃者が特定できて対応
できたとしても,他の方法で運ばれた危機が発生しているのではミサイル防衛
は無意味である.
ロシア:ミサイル防衛はロシアに,米国はABM条約など関係がなくて,もし交
渉が困難なら辞めてもいいというメッセージを発することになる.これは,米
国が,ロシアとの交渉を誠実にやるつもりも,ロシアの安全保障を考慮に入れ
るのもいやで,すべての交渉に反抗しているということになる.